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「嘘つき!約束が違います!!」
「嘘はついてないし、約束も違えてないだろ。俺は、竜を引かせるとしか約束してない」
「………っ!」
確かに、口約束したのは、それだけだ。
それでも、あの話の流れなら、誰にも手を出さないと約束したようなものだ。
それを…!
騒ぎを聞きつけて、警官達や消火隊の人達が集まって来る。
その様子を流し見て、男性は悠然と笑ってみせた。
「で?この状況をどうする?俺としては、面白けりゃどうでもいいんだがな」
「あなたは最低です…!」
罵る私の顔を眺めながら、男性が愉快そうに顔を歪める。
「…いいな」
そう囁いたかと思えば、片手で髪を掴まれ、引き寄せるようにして引っ張られた。
「いっ…!」
「その髪の色で、そんな顔をされると、堪らなくゾクゾクする」
愉悦の顔で言われ、嫌悪感でどうにかなりそうになる。
「もっと泣かせてみたくなるな」
ハッとして、周囲に顔を向けた。
「逃げて!!!!」
大声を張り上げるのも虚しく、瞬時にして、辺り一帯が吹き飛んだ。
「………」
目の前の光景に、何も反応出来なくなる。
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