272人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな……。
目の前に広がるのは、まさに地獄のようだった。
プツンと何かが切れたように、その場にへたり込む。
そんな私を眺めながら、男性は愉快そうに声を出して笑い出した。
「いいな、お前。俺好みの人間だ」
………この人は、何を言っているんだろう。
どうして、何の罪悪感もなく、こんな酷い事が出来るんだろう。
こんな光景を前にして、笑っていられるんだろう。
「………あなたは、誰なんですか?」
呟くようにして問い掛けた私に、男性は悠然と答える。
「アトロディア。お前の運命を握る者だ」
絶望。
こんな時の気持ちを表すとしたら……その言葉しか浮かんでこなかった……。
もう終わりだ…。
この人には、何があっても敵わない。
神様になんて、敵う筈がない。
全てを諦め掛けた時、ソレは起こった。
何処かに身を潜めていた筈のノワールが、突然、私の手元に飛び込んで来た。
それと同時に、私の周りが光り出し、目の前がぼやけ始める。
不意を突かれ、驚愕に目を見開く男性の顔を見たのを最後に、目の前が真っ暗になった。
最初のコメントを投稿しよう!