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謝るアルフォンスさんに、ハッとなる。
違う…。
アルフォンスさんが悪くない事は、十分に理解している。
責めるつもりもない。
「違います!アルフォンスさんは、何も悪くありません!そうじゃなくて…!」
「関わらなければ…離れたら、それでいいなんて都合良く考えていたから、あんな事になったんだ」
スッと、アルフォンスさんの真剣な眼差しが、私を捉える。
「そして、君まで巻き込んだ…」
「それは……私が娘だから」
お母さんの娘だから、巻き込まれた。
そう思っていた。
なのに、それを否定するように、アルフォンスさんは首を横に振る。
「僕の真名を教えたのは、君が初めてだ」
「そ…れは、私が…」
私が、何も教えてくれないアルフォンスさんに、勝手に怒って詰め寄ったから。
だから、アルフォンスさんは…。
「何も思わない相手に、そんな事を教えると思う?この僕が」
………思わない。
思わないけど…でも……。
でも、だって…。
「……お母さんと似てるから?だから…」
『身代わり』
その一言を言うのは躊躇った。
そんな私を、アルフォンスさんは容易く見抜いてしまう。
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