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「アデル…君のお母さんは、どんな人?」
「え?」
不意に聞かれて、戸惑いながらも、お父さんから聞いた、『お母さん』を思い出す。
「……気が強くて…冷静で、判断力があって……魔法も凄くて…それから…情に絆されたりしない、芯の強い人…」
「それで?その何処が、君に当て嵌まるっていうの?僕から言わせてもらうと、君とアデルは、見た目の容姿以外、何もかも真逆なタイプだよ」
呆れたように言われて、少し混乱する。
あれ?
言われてみれば、似ても似つかないような……。
え?
でも…。
「……だから、冷たく突き放したのに……君は、とても鈍いからね。僕の思惑なんて気が付きもしないで、どんどん遠慮もしないで近付いて来る」
「そ、それは…!」
………身に覚えがない…とは言えないような…。
「だから、無かった事に出来なかったんだよ。君への想いは」
「………」
どうしよう……。
きっと、今……私の顔は真っ赤になってる。
だって!
だって、あのアルフォンスさんが、私を…なんて、思いもしなかったんだもの!
「何?迷惑?」
憮然と言うアルフォンスさんの頬も、微かだが赤くなっているように見える。
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