272人が本棚に入れています
本棚に追加
冗談じゃない!
そんな事で、無かった事に出来るような軽い気持ちなら、とっくにそうしてる。
でも、そうじゃない。
そんな軽い気持ちなんかじゃないのに!
私の気持ちを、アルフォンスさんに軽く思われているように思えて、物凄く腹が立った。
悲しかった…。
「……本当に、馬鹿だね」
「だから!」
言い返そうとした私を、アルフォンスさんが掴んで引き寄せ、そのまま強い力で抱き竦められる。
「何度も、逃げる機会をあげたのに……君は、そうやって僕にぶつかって来るんだ」
そんなの……当たり前じゃないですか。
だって、好きなんだもん。
身体を少し離したアルフォンスさんが、私の目を真っ直ぐに見つめ、艶っぽい笑みを浮かべた。
「もう、逃げられると思わないでよ」
「に…逃げたりなんか」
動悸が激しくて、胸が痛い。
それなのに、とても温かい…。
アルフォンスさんの顔が、ゆっくりと近づいて来た時だった。
「何でもええけど、わいの存在、忘れてへんか?」
不貞腐れた様子のオイちゃん声に、私達は慌てて離れた。
ごめんなさい……忘れてました…。
最初のコメントを投稿しよう!