動き始める歯車

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冗談じゃない! そんな事で、無かった事に出来るような軽い気持ちなら、とっくにそうしてる。 でも、そうじゃない。 そんな軽い気持ちなんかじゃないのに! 私の気持ちを、アルフォンスさんに軽く思われているように思えて、物凄く腹が立った。 悲しかった…。 「……本当に、馬鹿だね」 「だから!」 言い返そうとした私を、アルフォンスさんが掴んで引き寄せ、そのまま強い力で抱き竦められる。 「何度も、逃げる機会をあげたのに……君は、そうやって僕にぶつかって来るんだ」 そんなの……当たり前じゃないですか。 だって、好きなんだもん。 身体を少し離したアルフォンスさんが、私の目を真っ直ぐに見つめ、艶っぽい笑みを浮かべた。 「もう、逃げられると思わないでよ」 「に…逃げたりなんか」 動悸が激しくて、胸が痛い。 それなのに、とても温かい…。 アルフォンスさんの顔が、ゆっくりと近づいて来た時だった。 「何でもええけど、わいの存在、忘れてへんか?」 不貞腐れた様子のオイちゃん声に、私達は慌てて離れた。 ごめんなさい……忘れてました…。
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