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………神様を前にしても、アルフォンスさんの毒舌はキレッキレだ。
止まるという事を知らない。
「それは、止めておいた方が良いんじゃないかな」
不意に聞こえて来た、第三者の声に、その場にいる全員が固まった。
いつの間に現れたのか、黒髪の男性が、アトロディアの真後ろに立っている。
………あれ?
あの人…確か。
「やぁ、サクラ。お久し振りです」
にこやかに微笑まれ、名前を呼ばれた瞬間、失くしていた記憶が鮮やかに蘇った。
そうだ…確か、雨宿りした時に……。
一つを思い出すと、スルスルと思い出して行く。
鏡の中で見た、あの光景。
アレは、アトロディア神とアルフォンスさんで、女性はお母さんだったんだ。
そして、見た事がないと思っていたアトロディア神を、危険と感じたのは、きっと、記憶の片隅に、鏡の中の出来事が残っていたからに違いない。
「何だよ、ルディアシス。人間には干渉しないお前が、どんな風の吹き回しだ?」
ルディアシス?
あの、死を司る?
「サクラに手を出そうとしたからですよ。彼女は、ルディアシスの闇、ですから」
ルディアシスの言葉に、私達だけではなく、アトロディアまでもが驚く。
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