273人が本棚に入れています
本棚に追加
*動き始める歯車・11*
取り敢えずといった形で危機を乗り切った私達に、ルディアシス神は何も言わずに立ち去ろうとした。
「ルディアシス神!サクラが、ルディアシスの闇というのは、どういう事か教えてもらいたい」
そんな神様を引き止めたのは、他でもないアルフォンスさんだ。
振り向いて、アルフォンスさんをジッと見つめたルディアシスは、表情を変える事なく口を開く。
「君は、アトロディアのお気に入りでしょう?そんな君に教える事など、何一つありません」
…………こういう性格なんだろうか、神様って。
「そ、それでは、私はどうでしょう?自分の事を知る権利は、あると思うのですが」
それじゃあと名乗り出た私を、ルディアシスは少し考えてから、「いいでしょう」と答えた。
そして、誰にも聞こえないような小声で、私の耳に手を当てて囁く。
「ルディアシスの闇とは、神殺しの母体となる人間の事を指します。つまり、あなたが子を授かると、その子供は神殺しの宿命を追う事になるのです」
「こ……」
こ・ど・も?
子供って、あの子供?
神殺しって、毒薬じゃないの?
パクパクと口を開く私に、ルディアシスはにこやかに微笑む。
最初のコメントを投稿しよう!