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お爺ちゃんは腕組みをして何かを考え込んでいたけど、顔を上げ僕の顔を覗きこむように見つめ、返事を返して来た。
「私の間違った政策のせいで、子孫である君と君のお母さんに迷惑をかけてしまった。
申し訳ない」
お爺ちゃんは僕に深々と頭を下げる。
「止めてください!
反省してくれれば良いんです」
「反省しているとも。
朝一番に国会に行き、君に教えられた事を念頭に政策を修正して、私の子孫が虐められないようにしよう」
「お願いします」
僕はお爺ちゃんに頭を下げ、ソファーから立ち上がった。
「学校に行かなくてはならないから帰ります。
お茶とお菓子ご馳走様でした」
「帰れるのかい?」
「廊下を僕の部屋の方へ歩いて行けば、帰れると思います」
「そうか。
あ、これを持って行きなさい」
お爺ちゃんはソファーの前のテーブルの上に残っていた、茶菓子を僕に持たせてくれる。
「ありがとうございます。
さようならお爺ちゃん」
「さようなら、坊や」
僕はお爺ちゃんの部屋を出て、真っ暗な廊下を僕の部屋があると思う方向に歩き出す。
朝、僕はお母さんの声で目を覚ました。
「朝よ、起きなさい」
僕は目を擦りながらベッドの上で上半身をおこし、お母さんに返事を返す。
「おはようございます」
「おはよう。
あら、これどうしたの?」
お母さんは僕の勉強机の上に置いてあるお菓子に目をとめ、聞いて来る。
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