反省

10/12
前へ
/12ページ
次へ
お爺ちゃんは腕組みをして何かを考え込んでいたけど、顔を上げ僕の顔を覗きこむように見つめ、返事を返して来た。 「私の間違った政策のせいで、子孫である君と君のお母さんに迷惑をかけてしまった。 申し訳ない」 お爺ちゃんは僕に深々と頭を下げる。 「止めてください! 反省してくれれば良いんです」 「反省しているとも。 朝一番に国会に行き、君に教えられた事を念頭に政策を修正して、私の子孫が虐められないようにしよう」 「お願いします」 僕はお爺ちゃんに頭を下げ、ソファーから立ち上がった。 「学校に行かなくてはならないから帰ります。 お茶とお菓子ご馳走様でした」 「帰れるのかい?」 「廊下を僕の部屋の方へ歩いて行けば、帰れると思います」 「そうか。 あ、これを持って行きなさい」 お爺ちゃんはソファーの前のテーブルの上に残っていた、茶菓子を僕に持たせてくれる。 「ありがとうございます。 さようならお爺ちゃん」 「さようなら、坊や」 僕はお爺ちゃんの部屋を出て、真っ暗な廊下を僕の部屋があると思う方向に歩き出す。 朝、僕はお母さんの声で目を覚ました。 「朝よ、起きなさい」 僕は目を擦りながらベッドの上で上半身をおこし、お母さんに返事を返す。 「おはようございます」 「おはよう。 あら、これどうしたの?」 お母さんは僕の勉強机の上に置いてあるお菓子に目をとめ、聞いて来る。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加