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お菓子を見て、お爺ちゃんと出会い話をした事が夢の中の出来事で無いことに、僕は気が付く。
「そのお菓子…………、夜中にお腹が空いちゃって我慢出来なくなり、台所から持ってきました。
ごめんなさい」
「もう困った子ね、夜歯を磨いたら、甘い物は食べちゃいけませんって教えたでしょう。
あ! 駄目よ。
普段着じゃ無く、ちゃんと制服に着替えなさい」
僕は袖を通しかけたTシャツを脱ぎ、お母さんが手渡してくれた、見覚えの無い制服を着た。
家を出て学校に向かう僕に、見覚えのあるような、無いような同級生が声をかけてくる。
「おはよう――」
僕も返事を返す。
「おはよう」
学校が見えてきた、校門の前で初老の男性が、登校して来る児童1人1人に声をかけている。
「おはよう――! 」
男性は僕の方を向き、皆と同じように声をかけて来た。
「おはよう――! 」
「おはようございます、校長先生」
今日の1時限目は社会の授業。
「私達の国は70年前、大海原戦争で海の向こうの大国に敗れ、南方に持っていた植民地を全て失いました。
この時、漁夫の利を狙った北の大国が不可侵条約を一方的に破棄し、北方植民地とこの半島に進行してきましたが。
北方植民地と半島を守備していた我が軍の守備隊が、本土からの支援が無い中で徹底抗戦で抵抗し、共産主義者の拡大を嫌った戦勝国である海の向こうの大国が支援してくれたお陰で、北方植民地と半島の大部分は我が国の領地として残りました」
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