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『豚! おはよう』
『おい! 家畜、挨拶出来ないのか?』
『ハハハハ、無理だって、家畜たぜ、人間の言葉話せる訳無いだろう』
『豚の癖に服着ているから間違えるんだ、脱げよ』
『止めとけ止めとけ。
こいつに危害を加えると問題になるから、罵声を浴びせるだけにしろって、先生が言っていたじゃないか』
『そうだな、おい豚! 学校に遅れるんじゃね――ぞ。
逃げやがったら、町中の人が山狩りするからな! この前のようにな』
『臭いが移るからサッサと行こうぜ』
僕に罵声を浴びせていた3人組が、学校に向けて走って行く。
お父さんが勤めている会社がこの町に工場を作る事になり、お父さんが先遣隊として派遣されてきた。
単身赴任は寂しいと言うお父さんの為に、僕とお母さんも一緒にこの国に来ただけなのに。
僕の曾曾曾曾祖父が100年以上昔、この国を植民地にした張本人と分かった途端、僕とお母さんに嫌がらせを始めた。
工場を誘致したいからお父さんには揉み手している癖に、僕とお母さんには、町中の人間が全員グルになって、昼夜を問わず嫌がらせをしてくる。
もう嫌だ! 故郷に帰りたいよ。
ああ…………学校が見えて来た。
校門の前で初老の男が登校してくる児童に声をかけている。
この学校の校長だけど、こいつが率先して僕を虐めるんだ。
『おはよう』
あいつが僕に気が付いた。
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