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この町の町長が、お父さんの為に用意した屋敷に帰り着き、玄関のドアを開け中に向かって声をかける。
「ただいま――」
僕の声に気が付いた、お手伝いさんという名目で僕達の家に入り込んだ、小母さんが奥から出てきた。
『ふん、子豚のお帰りかい』
小母さんの後ろからお母さんが顔を覗かせ、小母さんを突き飛ばすように退かせると、僕を抱きしめ僕の耳に口を寄せ話しかけてくる。
「お帰りなさい」
お母さんの後ろから僕達を睨みつけている小母さんに聞かれると、会話が全部町中の人に筒抜けになるから、僕とお母さんは会話する時、お互いの耳元に口を寄せ会話するようにしているんだ。
お母さんは泣きはらした僕の目を見て、言葉を続ける。
「ごめんね。
お母さんの御先祖様のせいで虐められて。
こんな国に一緒に連れてきちゃって、ごめんなさい」
「僕が故郷に残っていたら、お母さん1人が酷い目にあわされるじゃないか。
大丈夫! 僕は我慢するから」
お母さんは僕を力一杯抱きしめてくれた。
夕食の後、故郷の学校に戻った時、授業について行けるように勉強してからベッドに入る。
寝ている僕を誰かが優しく揺り起こす。
僕は眠気が覚めない目をこすり、ベッドの上で上半身をおこし、周りを見渡した。
電灯は消えている筈なのに部屋の中が明るくなっていて、ベッドの脇に見たことが無い綺麗なお姉ちゃんが立っている。
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