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いつもと変わらない街並みに、いつもと変わらない風景。
朝方のせいもあり、若干車は混雑していた。
歩道は時間も時間なので快適だった。
私の住んでいるこの街は都市部から少し離れた位置に属していて、
それなりに穏やかな場所だ。
それでも最近は色々な建物が増え、
若者向けの娯楽施設なども充実してきている。
私としては嬉しいことだ。
いつも通り道なりを真っ直ぐ進み、
自分と同じ高校の制服を着た生徒をちらほら見かけ安堵し、走るのをやめて歩き始めた。
その時だった。
グラッ────
足元が揺れた感覚に襲われ、思わずしゃがみ込んだ。
大きな地震かと思いふと顔を上げると、今までに見たことのない風景へと変貌していた。
建物などは見たことのある物ばかりなのに、明らかに何かが違う。
青く澄んだ空は灰色になり、日差しが強い太陽は見えなくなっていた。
「何が起きた?」とは思えど、あまりにも唐突な出来事にどうすればいいのか、
何をすればいいのか、全く頭が働かなかった。
すると、急に目の前に見たことのない「何か」が現れた。
それが生き物なのか、それすらも分からない。
ただ分かるのは、そいつには口のようなものがあり、手足のようなものがあり、目があるということだ。
そして何より、私の直感が「こいつから逃げなきゃいけない」と叫んでいることだった。
怯えて足が震えていた私を見て笑うかのように、そいつは私との距離をジリジリと詰めていく。
足の震えが酷く立ち上がれず、声を出したくても口は開いても声が出ない。
もう助からない、死にたくない。
助けて────
そう願った時、「彼女」は現れた。
そいつを遠くへ吹き飛ばし、私の前に現れた。
「大丈夫?」
そう声を掛けてくれた少女。
私は「彼女」を見たことがあった。
小さい頃からの憧れ、
悪と戦う正義の魔法使い、
希望に満ちたその風貌。
「魔法少女」そのものだった。
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