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公衆の面前でみっともなく僕に縋りつく御曹司。必至なのは分かるけど、自分の立場とか考えないのかな。
それに聞き逃せないセリフもあったし。
しょうがないともう一度溜息を吐いて、もう一度タクの腕を叩く。
「タク、離して。」
「駄目だ。俺を捨てるな。」
ワンコなのか俺様なのかどっちなの?離してくれそうにないタクに僕はタクを張り付けたまま方向転換。
タクがしたのかな?女は地面に転がっていた。ペタンと座り込んだまま、唖然をこちらを見る女に僕はニッコリ笑っていってやった。
「タクが、僕から、離れたがらないの。ごめんね?」
後ろから僕の首筋に顔を埋めるタクの頭を撫でてやれば、ふっと軽くなった拘束。
それにタクに視線を向ける、前にタクが僕の手を掴んで歩きだした。
女とは逆方向に。すぐに近くにあった黒塗りの車に乗せられた。
いつも思うけど、どっから表れるんだろう。この車。
そんな呑気な僕とは裏腹にタクは乗り込んだ車で、僕を自分の膝の上に乗せてきた。
まぁよくあることなので、僕も運転手さんも驚きはしないけどね。
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