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「タクミさんとはどうゆう関係ですの?」
「恋人です。」
問われたことに即答すれば、女は絶句した。知っていてきたんじゃないのだろうか?それともそんなハズがないと思っていたか。
「男同士ですよ?恋人なんてっ!」
後者の予想があたったことに納得して、顔を赤くして怒る女に視線を向ける。
「あなたがどう思おうが、僕たちは恋人同士です。」
理解できない人には、理解できない。嫌悪する人に認めろと強要するつもりはない。けれど、これは事実だ。
他人の意見なんて必要としていない。僕たちは、愛し合っているんだから。それだけが、事実。
「そんなの認められないわ!」
「あなたに認めてもらう必要はありません。」
甲高く叫んだ女に、僕は冷静に返す。こういうタイプはどうやったって引き下がってはくれない。きっとずっと異を唱え続けるだろうから。
「私は…、」
さっきまで大きな声で主張していた女は、一転俯きボソボソと話し出した。
声が聞き取りにくく怪訝な表情をすると、顔を上げてギっと視線を強くして睨みつけてきた。
そして放たれた女の言葉は、僕を不機嫌にさせるには十分だった。
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