僕と彼。

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「私は彼の婚約者ですっ!」 「へぇ?だから何ですか?」 冷静さをなんとか保ちながら対応する。実際はイライラきてるよ、流石の僕でもさ。 だって婚約者がいるなんて、初耳なんだから。 この女が勝手に名乗っている可能性もある。それはそれでイラっとくるけれど、もし仮に女の言うことが真実だとしたら…。 そんな可能性が消えないことに苛立った。なんたってタクは御曹司なんだから。 今まで婚約者の話題がでなかった方が不自然なんだ。意図的にタクが隠していた、ということなんだろうか。 平然と返した僕に女はしばし絶句していたが、はっとしたように姿勢を正した。 「だからタクミさんの恋人面は辞めてください。」 「そんなことしてません。正真正銘の恋人ですから。」 イライラが収まらないままに女との対面は続く。僕の言葉も次第にトゲトゲしいものになってしまう。仕方がないと思うけれど。 「じゃあ恋人というなら、別れてください。タクミさんと縁を切って下さい。」 僕が引かないと分かったのか、最初よりは下手に出た女はそれでも、敵意だけはビシバシと注いでくる。 僕だってこの女のせいで不愉快な思いをしてるんだ。ここまできて、はいそうですか。なんて言うわけない。 .
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