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物心ついた頃…
親父が痴漢で捕まった。
無実を主張したものの、経営してた教材卸の会社は倒産。
その上、離婚によって家族は崩壊。
俺は母親に引き取られ、親父とは2度会えない状況になった。
だけどそれは冤罪で…
急ぎでたまたま電車を利用した時に、運悪く女子高生のゲームターゲットにされたそうだ。
何度も真実を話して欲しいと訴えたけど、いつもバカ笑いで罵られた…
ってよく愚痴ってた。
子煩悩だった親父は、いつかまた俺と会える日を夢見て…
倒産で抱えた借金と、請求された慰謝料や養育費を払う為に、必死に働いてたらしい。
俺も親父に会いたくて堪らなかったけど…
母親がそれを阻んでた。
それが、ある日一転。
「ここでお父さんを待ってなさい」
6歳の時だった。
少ない荷物と一緒に、親父の家の前に置き去りにされて…
仕事尽くしで遅い帰宅の親父を待ち続けてた。
何月だったのか、寒さに凍えそうだったのは覚えてる。
でも待つのは慣れてた。
幼稚園に通う事なく、いつも家で1人…
母親の帰りを待ってたから。
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