10月

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物心ついた頃… 親父が痴漢で捕まった。 無実を主張したものの、経営してた教材卸の会社は倒産。 その上、離婚によって家族は崩壊。 俺は母親に引き取られ、親父とは2度会えない状況になった。 だけどそれは冤罪で… 急ぎでたまたま電車を利用した時に、運悪く女子高生のゲームターゲットにされたそうだ。 何度も真実を話して欲しいと訴えたけど、いつもバカ笑いで罵られた… ってよく愚痴ってた。 子煩悩だった親父は、いつかまた俺と会える日を夢見て… 倒産で抱えた借金と、請求された慰謝料や養育費を払う為に、必死に働いてたらしい。 俺も親父に会いたくて堪らなかったけど… 母親がそれを阻んでた。 それが、ある日一転。 「ここでお父さんを待ってなさい」 6歳の時だった。 少ない荷物と一緒に、親父の家の前に置き去りにされて… 仕事尽くしで遅い帰宅の親父を待ち続けてた。 何月だったのか、寒さに凍えそうだったのは覚えてる。 でも待つのは慣れてた。 幼稚園に通う事なく、いつも家で1人… 母親の帰りを待ってたから。
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