10月

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俺の想いを裏切って、黙って逃げた。 その行動は、他と比べればマシだけど… そのダメージは、何より激しく俺を苦しめた。 それは、キミを何より愛してたから。 だからこそ。 家族なんてバカバカしいって思って来たのに… キミと結婚したいって、 家族になりたいって思ったんだ。 だけど、家族って存在への不信感は心の奥でくすぶってて。 あっさり捨てた母親、 突然亡くなった親父、 簡単に裏切る伯母に、 家族がいかに脆くて残酷なのかを思い知らされてた俺は… そう単純に、その絆を信じる事が出来なかった。 また失うのが怖くて… 無意識に壁を創ってた気もする。 そんな俺に、何の覚悟が出来てただろう…? きっと、ちゃんとした家族なんか築けない。 だから、今になってホッとしたんだ。 これで良かったんだ… 傷がもっと深く、取り返しがつかないくらい化膿する前で。 でも本当は… 良かったと、思い込もうとしてただけなのかもしれない。
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