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どこからか響いてきた声。
それは、先生に当てられた時に聞こえる君の声にそっくりで。
幻聴にしても、はっきりと聞こえてきた。
(……クリスマス、か。一緒に帰ろって、誘えたらいいのに……孝くんに話しかけるだけでも、できたら良かったのに……本当に私、いくじなし)
まるで、君の心が読めてるように、君の声が急に聞こえてきて。
君の声で、ドキドキして。嬉しくて。
冬の寒さも感じない程に、僕の胸は、嬉しさで熱くなっていく。
やがて信号が青になり、彼女が渡り始める。
そんな彼女の腕を、ギュッと掴んだ。
「え……た、孝くん……?」
彼女が目を丸くする。
心なしか、頬が赤い。
そんな彼女に、僕はありったけの勇気を振り絞って、こう言った。
「よ、良かったら……僕と一緒に、帰らない?」
雪が降り積もり、店先でイルミネーションが点る。
彼女と歩幅を合わせて歩く僕。
春はもしかしたら、近いのかもしれない。
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