第1章

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君の心が読めたらいいのに。 読めたなら、こんなにも悩まなくていいのに。 冬、白い息が街中を漂う。 学校も変わり映えすることなく、クラスメイトが騒ぎ立てる。 そんな騒ぎに目を向けることのない君。 視線はいつも、机の上に広げてる本。 長い黒髪を、後頭部にひとまとめにして、知的なメガネがきらりと光る。 その目には、何が映ってるんだろう。 君の瞳に、僕は映ってるのかな。 視線が下を向いている時点で、隣の僕に関心がないのは分かってるのに、そんなことばかり頭に浮かぶ。 ――君の心が、読めたらいいのに。 その無理難題が心の中を何度もめぐり巡る。
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