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明るい駅前を離れて少しばかり歩くと、あたしのウチまでの帰り道は、しばらくは街灯も無い人気も無いひたすら真っ暗な路がずっと続く。
パパとママが必死に頑張って手に入れた念願のマイホームなのだから、娘としても喜ばしいのだけれど、心の中ではやっぱりちょっと恨めしい。
そして……いよいよここからが本番である。
両側ともいまだ造成中で土ばかりの殺風景な空き地が延々と並んで続いていく。
西部劇のゴーストタウンかここは?
いくら友達みなから男勝りとからかわれているあたしでも、こればっかりはおっかなびっくりで、足早に歩き抜けたくなる。
パパったら本当に勘弁して欲しい。
ようやく人気の無い危険地帯を抜け出して、常夜灯が照らす十字路に差し掛かった時、その向こう側にひとり女が佇んでいた。
どんな女だろうかとしきりに目を細めて見つめて視ても、相手の顔がまるで判らない。
それはそう、その女の胴の上には頭部がのっていなかった。
頭は無いのだけれど、向こうは明らかに此方を見つめているのが、あたしには何故だか判った。
途端にあたしの周りの温度が、冷蔵庫の中に放り込まれたみたいに急激に冷え込んでくる。
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頭が無いくせにこっちに向かって何か喋りかけているのだが、全く意味が解らない。
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『ナニアレ……めちゃ怖いよ!』
あたしは思わず叫びそうになったが、どうにも声が出ない。
あまりの気味の悪さに吃驚してその場に立ち尽くしていると、女の上半身がふらりふらりと規則的な振り子の様に揺れはじめた。
『き、キモすぎる!』
ぞわぞわと両手の指先から悪寒と鳥肌が同時に這い上がってくる。
ついに“首無し”は揺れたままの状態を保ちながら、そのままこちらへと近づいて来始めた。
ふらり、ふらり、ふらり、ふらり、ふらり、ふらりと。
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