覗き見

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覗き見

 ふと、強い人の視線を感じ、俺は眠りに落ちかけていた意識を引き戻した。  目の前のTV画面は知らない番組を流している。帰ってすぐ、野球中継が気になってTVをつけたのだが、疲れのせいか途中で眠ってしまったらしい。ナイターはとうに終わっているから、もう結構な時間だろう。  そこまでの考えが意識をよぎったところで、目覚めるきっかけとなった視線のことを思い出した。  窓の外をを見ると、外に立っている女の人と目が合った。俺が見返したことですぐに相手の姿が消える。  通りすがりの人がつい覗く。アパート一階の、通りに面した部屋ではよくあることだ。  プライバシーの侵害だとは思うけれど、いくら野球が気になっていたとはいえ、カーテンも閉めず、しかも眠りこけてた俺のミスだよな。  今度は空は気をつけよう。そう思い、カーテンを閉めようとしたところで気づいた。  俺は一週間前に、五階建てマンションの最上階に引っ越してたんだった。  …今いた女の人は…ええと。ええと…。  一階だろうと五階だろと、他人の部屋を覗くのはよくないことです。何者かは知りませんが…というか、多分この世の者ではない方だと思いますが、今後は通りすがりの覗き見は勘弁して下さい。 覗き見…完
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