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「彼ったら、凄く人当たりは良くて王太子としては完璧なのに、色恋沙汰はまるでダメで!どれだけ私が苦労したか!」
その時のことを思い出したのか、姉様は手を握りしめ力説し始めた。
その姿に、引いてしまったのは内緒だ。
「私がいくらアピールしても靡かないし誘惑も受け付けなかったわ。私に魅力がないのかと落ち込んだりもしたの」
何気に、危ない発言も混ざっていて、つっこんで聞いていいのか憚れる。
……誘惑って。ジュリア姉様、積極的ね。
確かに姉様の旦那様は学者肌と言うか、外に出ているよりも中で本を読んでいるイメージ。
意外な姉の一面に、動揺を隠すために薬草を千切り始める。
「最終手段に眠り薬を盛ろうとした所でシラーの王女だってバレたの。あれは悲しかったわ。でも……上手くいって良かったわ」
悲しい顔をしたり、にまにまと嬉しそうに照れたりと姉様は一人、百面相へと突入した。
そろそろ面倒になり、すり鉢で薬草をすり潰す。
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