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「ん・・・」
目が覚めると、見慣れた部屋。
久々にあの夢を見た。
「あの約束からもう15年か」
懐かしいなぁ・・・。
僕は欠伸をしながら着替え、黒いコートを羽織って部屋を出る。
いつもより通路に人が少ない。
「あれ、何かあった?」
掃除をしているメイドに聞いてみる。
「いえ、大した事ではございません。早朝から襲撃があっただけです」
「あ、そっか。他のメイドは後片付けに行ってるのか」
ならいいや。
たまにあるけど、時間帯を考えて欲しいとはよく思う。朝から仕事が増えて大変そうだ。
僕は移動して、僕専用のいつもの椅子に座る。
最初は落ち着かなかったけど、もうこの椅子に座るのも慣れてしまった。
「ユウ君、おはよう!」
「あ、ユノちゃん」
黒髪ロングの、誰が見ても美人であるユノちゃんが嬉しそうに駆け寄って来る。
僕の名を呼んだ事で周りに居た何人かが「またか」といった表情をしたが、注意する事はない。注意しても直さないし、もう諦めたらしい。
僕自身、別に気にしてないから良いんだけどね。幼馴染だし。
「大丈夫、怪我とかなかった?」
「いつも通り、みんな吹き飛ばして来た!
だからね、その・・・」
ユノちゃんはそう言って何かを懇願するように、期待した眼差しで僕を見る。 ユノちゃんに尻尾があったら、左右に大きく揺れている事だろう。
「ありがとう、ユノちゃん」
僕はユノちゃんの頭を撫でる。
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