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昔。
まだ背伸びをしないと蛇口が捻れなかったとき。
近所に、2つ年下の男の子がいた。
身体が弱かったせいか、しょっちゅう病院に通っていた、多分。
どうにも子供の頃の記憶は曖昧だ。まぁ、皆そんなもんだろう。
なぜかその男の子と一緒に木登りしようとして木から落ちたことはよく覚えているが。
その後母にこっぴどく叱られたことも。
男の子の名前は、確か、琥珀?
珍しい名前だなと、綺麗な名前だなと、思って覚えたのだ、多分。
色白で、細くて、気が弱くて、でも頭はとびきりよかった。
おまけに器用で何でもそつなくこなして。
そういえば琥珀のやつ、まだ帰ってこないんだな。
そんなことをふと思い出した、大学2年の冬。
まさかあいつが帰ってくるなんて、その時の俺は予想だにしていなかった。
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