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お開きになる時間まで、私は完全にショックを受けたままだった。 そっか。 神崎君、この間、雛子ちゃん送って行って……しかも家に寄ったんだ。 頭の中は冴え切っていて、けれど体はまだ酔いがまわる。 2次会の場所なんかも幹事さんが叫んでいたけれど、それどころじゃなかった。 もちろん、課のカップルたちはそれぞれ帰って行くのは当たり前で。 私はお店の前、駅へと足を一歩踏みだした。 「成宮、送ってくって俺さっき言ったろ」 「えーっ、せんぱい、雛子の事送ってくださぁい!成宮先輩全然酔ってないから大丈夫ですよぉ」 肩に乗った手に振り返った視線は、神崎君の腕に絡みつきながら私に向ける雛子ちゃんの鋭い視線とぶつかる。 その視線に負けてしまう私は、「大丈夫」口走っていた。 「私酔ってないから、大丈夫よ。雛子ちゃん送ってあげて」 無理やり口元を持ち上げて、ひらりと手を振る。 歩き出す私の腕を掴んだのは、陣内君だった。 「成宮は俺が送って行くから」 「っおい、陣内!」 「神崎はその子を“選べ”ば?俺は成宮じゃなきゃ送らねーし」 掴んだ腕が引かれて陣内君へ体が傾いた。 そこまで言ってくれるこの胸に飛び込んでしまえたら、どれだけ楽だろう。 でも自分の胸が痛いのは神崎君の事で。 彼が雛子ちゃんの腕を振り払わないのとか、嫌がらない事にますます胸が苦しくて。 その気持ちに負けて陣内君に甘える事はやってはいけないから。 「大丈夫、1人で帰りたいから」 呟いて、陣内君の腕から離れ、踵を返した。
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