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「成宮ー、至急コレ頼む」 「はい、わかりました」 オフィスのデスクから立ち上がり、ずいと腕を伸ばして差し出される書類を受け取って戻った。 開いていたファイルを一度閉じて、新しく立ち上げる。 至急と言われているから急いで終わらせて持っていけば、この仕事を私に頼んだ、神崎班長がふっと微笑んだ。 「さすが、成宮。助かった。ありがとう」 「いいえ、」 私はデスクに戻るとちらりと視線を向け、パソコンを見つめる真剣な表情に胸が鳴った。 神崎班長は私と同期だ。 一緒にここ本社へ入社したのだが、数年地方に異動になり今年戻ってきた。 それも、班長と言う少し上の立場で。 もともと仕事のできる人で、とてもカッコイイ。 日に日に彼が気になってしまって仕方がないけれど、今はただちらりとその姿を見るだけで精一杯という感じ。 気さくで、イケメンで、仕事も出来て。 そんな人はもちろん、女子が黙っちゃいないわけで。 今日もまた、食堂の彼の隣にすかさず座ったのは、隣の班の新人の女の子。 「神崎せんぱぁい、隣イイですかぁ?」 口調もさることながら、全身からスキスキオーラを出して神崎君の袖をつんと引っ張った。 「……言う前からもう座ってんじゃねぇーか」 ぼそりと聞こえるのは同じく同期の七瀬君と八重子から。 左右からほぼ同時に聞こえてきたつっこみに、私は苦笑を洩らした。
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