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「……にしても、神崎のヤツ、嫌がってないよなー」 七瀬君が宙を見つめてそう言った。 そうなんだ。 神崎君、あの子にべたべたされても嫌がってないんだ。 「えーっ、もしかして、神崎君ってああいうのが好み?」 「山上、俺に聞くなよー」 「そうよね。じゃあ、男子ってああいうのが好きなの?」 「何言ってんの。俺は岬さん一筋なの」 「…………。」 あ、今八重子のこめかみに青筋が……。 そりゃあ、七瀬君は自分の班長の岬さんとがっつり社内恋愛中ですし? 羨ましい限りですけど! ベタコちゃん……じゃなかった、雛子ちゃんみたいなタイプが好みなら、私なんて正反対だ。 「成宮、今からでも遅くない。ベタコ先生に習ってみたら?」 「そうね。ちょっと弟子入りしようかしら……って、できるかっ!!経った今、自分と正反対だと思ったばかりよ」 「あはははっ、」 七瀬君は思い切り笑い飛ばすと親指立てて二カッと笑った。 グッジョブ!じゃないって。 はぁー。 「別にそのままでいいじゃない」 思い切りため息を吐きだした所で、私の隣、七瀬君と反対側へと移動してきた花音が覗きこむようにして言った。
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