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「先輩方、すみませぇん。ついてきちゃってぇー」
「べ……雛子ちゃん」
八重子がひきつった顔で振り返った。
「私アッチ戻ろーっと」
元いた席に戻って行ったのは花音で。
「あ、じゃあ俺はここ座るかな」
空いた私の隣に座ったのは、神崎君。
そして。
「姫野、座ったら?」
私とは反対側に雛子ちゃんを座らせた。
「前途多難」
ぼそり、神崎君とは反対から呟くのは七瀬君で。
「イテッ!!」
八重子が向かいから七瀬君の足を蹴ったようだった。
「あ、成宮、今日はありがとな。助かった」
神崎君が私の方を振り返り笑みを深くする。
「……?なんかあったっけ……」
その笑顔にドキッとしつつ、平静なふりして返事をした。
「お前仕事沢山あるのに、至急で頼んじゃっただろ?」
「あぁ。急ぎなら別に……。他の仕事は余裕あるし」
「くくっ、」
神崎君は一度くつりと肩を揺らすと雛子ちゃんへと顔を向けた。
「ほらな?姫野もこういうのを目指せ?」
「はいっ!成宮先輩はぁ、すっごい尊敬してるんですぅ!」
……え、
目をハートにしながら神崎君を見上げた雛子ちゃんは、顔を下げる瞬間、私の事を物凄い目つきで睨んだ。
こわっ!
「こわっ」
思わず口に出したかと唇を引っ込めるようにしたら、呟いたのは七瀬君だった。
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