6/20
前へ
/22ページ
次へ
「先輩方、すみませぇん。ついてきちゃってぇー」 「べ……雛子ちゃん」 八重子がひきつった顔で振り返った。 「私アッチ戻ろーっと」 元いた席に戻って行ったのは花音で。 「あ、じゃあ俺はここ座るかな」 空いた私の隣に座ったのは、神崎君。 そして。 「姫野、座ったら?」 私とは反対側に雛子ちゃんを座らせた。 「前途多難」 ぼそり、神崎君とは反対から呟くのは七瀬君で。 「イテッ!!」 八重子が向かいから七瀬君の足を蹴ったようだった。 「あ、成宮、今日はありがとな。助かった」 神崎君が私の方を振り返り笑みを深くする。 「……?なんかあったっけ……」 その笑顔にドキッとしつつ、平静なふりして返事をした。 「お前仕事沢山あるのに、至急で頼んじゃっただろ?」 「あぁ。急ぎなら別に……。他の仕事は余裕あるし」 「くくっ、」 神崎君は一度くつりと肩を揺らすと雛子ちゃんへと顔を向けた。 「ほらな?姫野もこういうのを目指せ?」 「はいっ!成宮先輩はぁ、すっごい尊敬してるんですぅ!」 ……え、 目をハートにしながら神崎君を見上げた雛子ちゃんは、顔を下げる瞬間、私の事を物凄い目つきで睨んだ。 こわっ! 「こわっ」 思わず口に出したかと唇を引っ込めるようにしたら、呟いたのは七瀬君だった。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

141人が本棚に入れています
本棚に追加