第1章

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「う、うーん。あんまり好きじゃないかな?」 「そーなんだ。私は好きだよ!水溜りをぴちゃぴちゃするの楽しいし、何より賑やかだから!」 賑やか。 ザーッという音のことを言っているのだろうか? 今の俺には雑音にしか聞こえない。 純粋な心を持っていれば賑やかと思えたのかな・・・。 「君は純粋だね。」 「じゅんすい?」 「心がキレイってことだよ。」 「えへへ、ありがと!」 変わらず傘で隠れて顔は見えないが笑っていることはわかった。 「お兄ちゃんは大切なものある?」 大切なもの、か。 携帯電話を取り出し、それに付いているストラップを少女に見せた。 「これかな。なんで大切なのかは思い出せないんだけど、捨てられないんだ。」 「可愛いクマさんだね!」 ビーズで作った小さなクマだ。 「君の大切なものは?」 そう聞くと嬉しそうに足踏みをした。 「私はこの長靴!しんちゃんにプレゼントしてもらったんだ!」 黄色いその長靴は汚れがなく新品のようだった。 「しんちゃんって、お友達?」 「そうだよ!家がお隣さんなの。」 名前的には男の子。 女の子にプレゼントするなんてやるなー。
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