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「そのしんちゃんって子は、きっと君のことが好きなんだね。」
するとしゃべり続けていたその子は急に黙り込んだ。
あれ?なんかまずいことでも言っちゃったかな?
「・・・そうだと、いんだけどな。」
声が明らかに元気を無くしている。
「君はしんちゃんのことが好きなんだね。」
「うん、大好き。でもきっと遠くに行ったら忘れちゃうから。私のことなんて。」
引っ越したりでもするのかな?
こんな田舎だから都会での暮らしを憧れる家族は珍しくない。
「大丈夫。どんなに遠くに離れてても君が思い続けてたらしんちゃんはきっと覚えててくれるよ。」
「そうだと、いいなぁ。」
小さな頃の恋。
1番純粋で輝いていた。
今ではもう思い出せない感覚なんだろうな。
「しんちゃんはね、かっこいいんだよ!私が苦手な虫を追い払ってくれたり、柿の木に登って柿を取ってくれたり!」
「かっこよくて優しいんだね、しんちゃんは。」
「うん!」
少女の声は元気を取り戻していた。
しんちゃんという子のことが本当に好きなんだな。
俺も小さな頃は好きな子がいた。
とても明るくて元気な子。
今はどこで何をしているのかわからないが。
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