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「ねえお兄ちゃん、好きな食べ物なに?」
不意に話を変えられた。
なんでも聞きたがる年頃って、あるよな。
「俺はね、ハンバーグかな。」
子供の頃、お母さんが作ってくれたハンバーグが好きだった。
実家に帰ると今でも作ってくれとお願いをするくらいだ。
「そうなんだ!私はね、フルーツが好き!」
おお、これは幅広いな・・・。
「どのフルーツが好きなの?」
少女はうーんと考えている様子だ。
「しんちゃんが取ってくれる柿かな!いつでも食べたい時にくれるって約束してくれたんだ!」
結局しんちゃんに結びついた。
あれ?なんだろう。
ふと何かを思い出しそうになった。
でも、何を・・・?
この子を知ってる・・・?
顔を見たいが傘で隠れてどうしても見えない。
「ねえ君、どっかで俺と会ったこと、ある?」
少女は黙り込んだ。
ピクリとも動かない。
「そ、そんなわけないよね。ごめんごめん。」
すると少女はポツリと呟いた。
「最近しんちゃん柿くれないなー。」
傘を上げ顔を見せた少女は俺に向かって言った。
「柿くーださい!」
その顔に見覚えがあった。
「あ、え?嘘だろ。・・・美加?」
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