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「久し振り、不動さん。」
「おお、宮東さんではないか。
婚活に成功したと聞いてから見かけ無かったが………今日は何故こちらに?」
「いやー、嫁の腹が大分大きくなりましてな。
社宅じゃ何かと不便だから、オレの実家の方に行ってもらってるんですわ。」
「ご懐妊なされたか!
それはそれは、おめでとうございます。」
「不動さん、アンタも早く嫁さん見付けた方が良いぞ?
そりゃ今の内は一生独身でも良いなんて強がりを言えるけどさ、40代になると一気に辛くなるからな。」
「ハハッ、素敵な女性との出会いがあれば是非とも結婚したいものですね。」
「オレが使ってた婚活サイト教えようか?」
「遠慮しておきます。
それよりも宮東さん、今日はここの半額弁当を狙いに来たのでしょう?
早く取った方が良い、貴方の狙いの物を私が頂いてしまうかもしれない。」
ならばお先に、と。
宮東さんは私が候補から外していた特盛ナポリタンとマカロニサラダを取り、ドリンクコーナーへ足を向けた。
半額弁当を買いに来たからと言って、弁当ついでに冷えたビールを買える余裕のあるあの人は最早同類ではない。
私なんて一ヶ月前に世間から大不評を喰らい、一本36円で叩き売られていたビールを大事に大事に飲んでいると言うのに。
さらば宮東さん。
共に半額弁当について語っていた、私の中の貴方は死にました。
「さて、私も……………今日は鯖味噌にするか。」
恐らく良い具合に味が染みている鯖味噌がメインの半額弁当とカキフライ3個セットを夕食に、
そしてお握り2個を明日の朝食のために取りレジへと持っていく。
野菜はこの前八百屋で貰った残りがあるはずだ。
「いらっしゃい……………って不動さんか。
今日のメニューは何?
アンタの好きなカキフライを7割引きにしておいたけど、あれ取った?
揚げたの5時間前で湿気湿気だけどな。」
「貰った貰った、流石に3個セットで値段が2桁とは驚いたぞ。」
「ぶっちゃけ他の店だったら即ゴミ箱にダンクする産廃だし。
それならお得意様に買わせた方が、まだマシってもんよ。
ほら、ポイントカード出しなよ。
卵の割引券あげるよ?」
「産廃を客に食わせるとは、流石は我らがヤマヅキよ。
あ、箸も一本くれ。」
この時間帯の責任者、もう数年の付き合いになる本藤は慣れた手付きで品物をレジに通していく。
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