3/8
前へ
/23ページ
次へ
卒業。 雪が降っていて。 私は、この空間にひとりぼっちになってしまったようで。 雪は、優しく私を包んで、その涙を拭ってくれるけど。 あまりにも、冷たくて、あまりにも、残酷だから、触れているとチクリチクリと指先を刺されるんだ。 あの時と一緒だ。 私は、泣いてる。 粉雪がふっていて、焔もいなくて、私はひとりぼっちで。 「大丈夫?」 そっと、優しく涙が拭われる。 あぁ、あの時と違うのは、そうだ。 あなたが、私の涙を拭ってくれた事。 なんでもない神様、「無」は、そこに、確かにいた。 雪の中で頼りなくも、そこにいたのだ。 私は、何を思ったのだろう。 無に会いたくない。と、願ってしまったのだろうか。 無の笑顔が、ほんの少し、悲しそうだったから、そんな事を思ってしまう。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加