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卒業。
雪が降っていて。
私は、この空間にひとりぼっちになってしまったようで。
雪は、優しく私を包んで、その涙を拭ってくれるけど。
あまりにも、冷たくて、あまりにも、残酷だから、触れているとチクリチクリと指先を刺されるんだ。
あの時と一緒だ。
私は、泣いてる。
粉雪がふっていて、焔もいなくて、私はひとりぼっちで。
「大丈夫?」
そっと、優しく涙が拭われる。
あぁ、あの時と違うのは、そうだ。
あなたが、私の涙を拭ってくれた事。
なんでもない神様、「無」は、そこに、確かにいた。
雪の中で頼りなくも、そこにいたのだ。
私は、何を思ったのだろう。
無に会いたくない。と、願ってしまったのだろうか。
無の笑顔が、ほんの少し、悲しそうだったから、そんな事を思ってしまう。
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