空気

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ページはドンドン増えていく、一度受け入れてしまった他人の心の中の言葉は、そう簡単に追い出すことは出来ない。もはや慣れっこになっている景色ではあるが、むき出しの言葉を無制限に受け入れていると自分の言葉が言葉たちの渦にのみ込まれて深い深い底へと沈み込んでいってしまう。沈み込み、閉ざすことでこの言葉の反乱から逃れることは出来る。しかし完全に閉ざしてしまった扉を内側から開くにはかなりのエネルギーを使う。その間、僕はこの場で仮死状態になってしまうはずで、そこで巻き起こる騒動を考えれば今のうちに逃げ出すに限る。 適当な理由をつけ、いくばくかのお金を押しつけると僕は席を立った。 押し寄せている言葉のベールを押し分け押し分けしながら、流れ込んでくる言葉の流量を少しずつ絞っていけばいい。 「あれかえるやつがいるあうまくやってるあたしもびんじょうしてかえろうかななんだよしらけるなあたしにあいさつもなしにかえるつもりあこのやろうでもおおめにおいていったなこれならおこぼれがぶちょうのはなしながいなといれにいきたいのにむのうなやつらとのんでいるとおれのえらさがひかるなはやくやりたいのにじゃなやつらだいやらしいめでわたしをみてくれてうれしいかもしれなくもなくないような……」 かき分けかき分け 「あーあーいつまでのんでやがるんだこいつらだいたいこんなものよくくえるよなつくっているところみたらおれならぜったいくわねくそういいかげんについかしろがくせいいかだぞおまえらあーいいきぶんたまにはこんなんもいいようなわるいようないくないようないいような……」 かき分けかき分け 「いっらしゃいませーなんておもっているわけないだろうかねだおとしてはいってこなきゃいいのになしかしじきゅうやすいよなあしゅうでんまでにかえらないとでんしゃがいってしまえばこっちのものだけいひでおとせるかなこんなところでせったいのつもりかばかじゃないのかこいつなんのちからもないくせにせったいされるわけがあったりなかったりするようなないような……」 かき分けかき分け
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