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おさげはそのままだね、と笑う男の子。
部屋の中をふわふわと漂いながら、たまに逆さまになったりする様に、彼が本当に幽霊なんだと思い知らされる。
「君がまさか、兄さんを呼んでくるとは思わなかったんだ」
あの時呼んだ高校生のお兄ちゃんが、この男の子のお兄さん?
「まぁ、詳しい話はまたゆっくりね。時間はいっぱいあるからさ」
「時間……?」
男の子は頭の後ろで腕を組みながら漂っていたのをやめて、私にぐんっと顔を近付けた。部屋の奥が透けている。
「君が僕の箱を大切に守っていてくれたから、もうひとつ約束をするよ」
「約束?」
「うん、僕は君をずーっと守ってあげる」
「なにから?」
きょとんとする私に、男の子は「なんでもから」と微笑んだ。
それなら、と私は箱を手の中に包み込み、顔をあげる。
「それならまずは、私と約束して」
「うん、なにかな」
「名前を教えてちょうだい」
「ふふ、それ、約束?」
「……う、あと五十文字以内で教える事!」
「それじゃ約束じゃなくて、命令……」
約束を守っていたその先には、新たな約束が。そして、年下の幽霊との同居生活が始まった。
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