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短いおさげが、ぴょこぴょこ跳ねる。
私はパタパタと足音を立てて走っていた。
背中でランドセルの中身がしっちゃかめっちゃかになったって、構ってられない。
「たいへん、たいへん……っ」
それは、学校からの帰り道だった。
寄り道で公園に行ったら、顔色の悪い男の子が滑り台の下の洞窟の中でうずくまっていたのだ。
声をかけたら男の子は「なんでもないよ、気にしないで」と弱々しく笑った。
気にしないでなんていられなくて、私は慌てて走り出したんだ。
でもその前に。
私が「誰か呼んでくるよ」と言った時。男の子は私の手を掴んだ。
「お願いがあるんだ」
小さな箱を私の手に握らせた。男の子の両手で、ぎゅっと握られたその箱と、私の手。
冷たくて凍ってしまいそうだった。握らされた箱も冷たくて、指先が痺れてしまいそう。
「この箱を、どうしたらいいの?」
私が聞くと、男の子は真剣な目をして私を見つめた。
「いいかな、約束だよ」
「約束?」
「そう、忘れないで。約束だよ」
静かに、でも強い意思のこもった声に、私は息をのみ、うなずいた。
「うん、約束するよ」
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