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あれから、私はあの男の子との約束を守っていた。
約束というのが……。
「約束だよ。この箱を、君の机の引き出しの中に入れておいて欲しいんだ」
「それだけでいいの?」
「うん。でも出来れば大切にして欲しい」
「もちろん大切にするよっ。綺麗な箱だし」
「うん。そして大人になるまで持ってて」
「大人になるまで?」
「そう。出来れば誰にも見せないで」
「内緒なの?」
「うん。大丈夫、爆発したりとかしないから」
「笑い事じゃないよー」
「ふふ、約束はそれだけ」
「わかったよ。じゃあ今度は私から約束」
「え?」
「人を呼んでくるから、ここで待っててね」
「……あぁ、わかった」
それで安心して、私は公園から走り出そうとした。するとまた呼び止められた。
「そうそう、出来ればそのおさげも。そのままでいて欲しいなぁ」
そんなのわかんないよ、と私は返して、公園から走り出したんだ。
近くの家の高校生のお兄ちゃんがいたから、助けてって呼んだ。
公園まで連れていったのに男の子は、いなかった。
私との約束は、守ってくれなかったんだ。
それからずっと、あの箱は机の中。
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