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「それで先生、私はこれからどうすればいいんでしょう? ……あ、その、手続きとしては」 「美咲ちゃんの御遺体は、ひとまずこの病院に安置します。ですので葬儀社が決まりましたら御連絡ください。それまでに死亡診断書を作っておきます」 「……そういえば、死因は何になるんですか?」 「乏血による心不全、いわゆる失血性ショック死です」 「分かりました。じゃあ……私は、ひとまず帰って構わないということですか」 「はい、そうなります」 「そうですか……。じゃあ、もう少し休んだら帰ります」 「わかりました。……加藤さん」 「はい」 「あ……いえ、気を付けて帰ってください」 「ありがとうございます。本当にお世話になりました」 「いえ、では失礼します」  医師は再び手術室がある方へ戻っていった。  ……さて、これからどうするべきか。こういった場合、警察から何か連絡があってもよさそうなものだが、そうでもないのか。  こちらから連絡するのもなんだか不自然な気もするが……。いずれにしても美咲を轢いた中西とかいう男の言い分は聞かねば気が済まない。  加藤は東警察署に電話をすることに決め、携帯電話の着信履歴をたどる。  そのとき、例のインターネット屋の奇妙な電話番号が目に止まった。  ……そういえば、この話はどうなるんだ? 結局、美咲は生き返ることなどなく、医師も何も言わなかった。やはり無駄だったのだろう。  しかし気味が悪いので、確認するために加藤はその奇怪な電話番号に電話をかける。しかし加藤の携帯電話は即座に、その電話番号が現在使われていないことを告げた。   ……なんだったのだ。いったい。  加藤は気を取り直して東警察署に電話をかけた。 「はい、東警察署です」 「あの、加藤といいます。……事故で死んだ加藤美咲の父です」 「あ、はいっ。失礼しました。お繋ぎします」  電話口に保留のメロディが流れる。  なんだ? 今のやりとりのどこに失礼があったんだ?  ただ、電話に出た人間が相当に面食らったのだということだけは理解できた。  そしてすぐに電話が繋がれた。 「……加藤、大変なことになったな。大丈夫か?」  今度は加藤が面食らった。  まさか岩崎に繋がれるとは思わなかった。
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