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「時間よ戻れ!」
ぐるぐるぐるぐる…
さて、これでもう5回も時間を戻したわけだが、結局5回とも墜落した。
あまり騒ぎにはしたくなかったのだが、こうなったら仕方がない。
俺は携帯電話を取り出し、この空港に電話を入れた。
「もしもし、今から離陸する小型機027便のパイロットについてですが、職務を利用して麻薬の運び屋をしているという情報が入ってきました。今からそちらへ向かい取り調べを行いますので、拘束しておくようお願いします」
「ええ?そんなまさか。信じられません。それにもうフライトの為に搭乗する所です」
「もしや空港ぐるみでの犯行ですか?そのパイロットが潔白かどうかは取り調べで分かる事です。私が行くまで外に出ないよう拘束するだけで良いですから。どうか密輸に協力する事がないようお願いします」
電話を切り、搭乗手続きを済ませた頃、騒ぎが聞こえてくる。
「おおおれは何も知らないよ」
「だから何も知らないなら捜査官にそう言えばいいだろう」
「だから何も知らないんだから捜査…ウッ」
「お、おい。どうした?おい、大変だ。胸を押さえて倒れたぞ。救急車だ!」
ふむ。これであのパイロットが飛行機に乗る事は阻止できた。
飛行機は別のパイロットが操縦するし、あのパイロットも病院に運ばれて助かるだろう。
しかしパイロットが変わったとしても、何も起きないという保証はない。
なにせ俺の職業は名探偵。飛行機は密室。
密室に名探偵がいれば、事件が起こる事は阻止出来ないからな。
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