第1章

2/3
前へ
/3ページ
次へ
5歳のとき お父さんが交通事故で死んじゃった。 「おとーさん  おとーさん どこぉ?」 お父さんが居なくなった。 毎日抱っこしてくれてたのに いっつも頭を撫でてくれていたのに 悲しくて悲しくて 泣いて泣いて 外にも遊びに行かなくなって。 そしたらお隣の佑ちゃんが薄暗い部屋に入ってきて 私の前に座った。 「もう泣かないで?  僕がまりちゃんのパパになってあげる。  僕がずっと守ってあげるから」 そう言って小さな手で私の頭を撫でてくれた。 ずっとずっと撫でてくれた。 それから私と佑ちゃんはずっと一緒で。 小学校にも中学校にも一緒に通った。 私は高校から家をでて下宿して 県外の大学へ通うことになったけど 20年後。 まさか佑ちゃんがあの時の約束を覚えててくれたなんて びっくりしたわ。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

121人が本棚に入れています
本棚に追加