疾風のごとく…

2/6
前へ
/6ページ
次へ
「恭司様! 心一様を、確保です!!」  …まただ…。またちあきは…。  オレって、ずっと逃げてるよな…。いいトレーニングにはなるんだけど…。  …ん? キョウジさんからブロックサイン…『話がある…昔の…グラウンド』。オレは、『了解』と返した。  オレはいきなりトップスピードで疾風のごとく、ちあきに突っ込んだ。…読まれてたか…。笑ってやがる…。  オレはちあきの横を抜け、校門を突っ切った。真っ直ぐ走れば目的地だ。 「シンイチ! 早くなったね。オレ、負けちゃうかも!」  …冗談でしょ、キョウジさん…。全力でないことはわかってますよ。  オレ達は疾風のごとく、オレ達の思い出のグラウンドに向かって駆けている。  山王恭司、オレと一緒で、将来が決まっているひとり。去年はプロ野球選手として、佐伯監督に継いで伝説的な記録を残し、たった一年で引退した。ピーチパラソルコーポレーションの警護SP部隊、総司令補佐としていきなりの抜擢。ちあきの思い通りだった。でもオレは、そうはならない。オレは野球をずっと続けるからな!
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加