第一章

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「お母さん、何歳なの?」 「65ですが、まだ元気です。親父は63で、禿げ上がってますが、実家に帰る度に説教してきます」 「あなたは?一人暮らし?」 「ええ・・・・・・今年で31歳なんですが、まだ独身です。結婚する気がないわけではないんですが、その・・・・・・昔の恋人が忘れられなくて・・・・・・」 「そんなにいい人だったの?」  タキの言葉に彼は頬を緩める。 「ええ。それはもう・・・・・・素敵な女性でした」 「そんなにいい人なら、結婚すれば良かったじゃない」 「それが・・・・・・もう、結婚をしていて・・・・・・」  その話を聞いて、タキも昔叶わなかった一つの恋を思い起こした。
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