第一章

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「藤沢さん」  40代後半の刑事、藤沢と合流した。彼について行き、職員などに聞き込みをしてから車内に戻り、また移動した。 「いや、現場は酷い状態だったよ。畳が赤く色づいてるわ、障子に血が飛んでるわで。男の解剖結果は首の傷が死因で、頚動脈からの多量出血による出血死だそうだ」  車を運転しながら藤沢はそう話す。 「誰かに首を切られたってことですか?」 「第三者か、あとは自分かしかないだろ?」 「自分で?自殺だとでも言うんですか?」 「彼女の死因は老衰っていう結果だ。その結果が本当であれば、これに事件性はない」 「でも、それならなぜ、わざわざ人の家で自殺なんかするんですか?」 「さあな。盗みに入ったのはいいが、老人が寝込んでて、哀れに思って看病したとか・・・・・・」 「彼女が老衰で死んだなら、通報されることもないし、自分が死ぬ必要ないでしょう?」 「自責の念に苛まれて・・・・・・なんてこともあるかもしれないだろう?」 「事跡?」  藤沢は左隣の田辺に目を向けた。 「お前にはまだ自責の念、なんてものはないか・・・・」  そう呟いてフロントガラスに視線を戻し、青信号を左折した。
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