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今日も、ケルマの町は闇の中だ__。
「よう、調子はどうだ」
降りやまない雨の中、暗闇に響いたのは、その場にそぐわない明るい声だった。
対する返答は、どこかくたびれきったがらがら声。そちらの方が相応しいと言えるぐらいに、辺りの景色は悲惨に荒れ果てている。
「…ああ、ロイドか。調子も何もないよ…持ったとして、三週間が限界だろうね」
「三週間…!?なんとかなんねえのかよ、アンタ医者だろ?」
「医者にも限界というものがあるんだよ。それに、医者といってもろくに知識も器具もない…所詮、やぶ医者さ…」
どうやら彼らは病人の話をしているらしい。
確かに時折、呻き声に似た音が雨音に混じって聞こえてくる__気がする。最も、あまりにもか細すぎて、実際のところはどうなのかは定かではない。それだけ、その人の病は深刻な状態なのだろう。
不意に、ロイドと呼ばれた人影が声を荒らげる。
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