9人が本棚に入れています
本棚に追加
ロイドの言葉に何か思い付いたのか、青年は小さくそう呟いた。
「…チェン?」
「いや…さ。そういえば、聖都には…どんな病でも治してくれる、巫女姫様がいるって話…聞いた事があるな…って、思い出して、さ…」
「…!」
その瞬間、ロイドの目の色が変わった事に気付く事なく、青年__チェンは続ける。
「もし…叶うなら、最期に…会ってみたか…た、な………」
「チェン…?」
「……」
それが限界だったのだろう。再び深い眠りへと落ちてしまった親友の寝顔を、ロイドはじっと見つめ続ける。
それからしばらくして、彼はチェンの体を背に負い、雨の中を歩き出した。
(__巫女姫、か)
ロイドも、うわさには聞いた事がある。どんな病も治し、守護の恩恵を授けるという聖都の守護者の話を。
最初のコメントを投稿しよう!