9人が本棚に入れています
本棚に追加
(今更…今更、あんな奴らにすがれっていうのか?)
冗談じゃないと、かなぐり捨てるように呟く。
聖都の連中は守護の恩恵を自分達だけで独占して、周りの都市がいくら妖魔に荒らされようと、構おうともしなかった。そんな連中に__しかも、その守護者に助けを求めようというのか?
(……だけど)
背中越しに感じる、今にも絶えてしまいそうな温もり。この親友の事を想うと、ロイドの心は大きく揺らいだ。
やがて、彼らのねぐらに着き、チェンの体をそっと寝台に横たえる。
その苦しみに歪んだ寝顔を見ているうちに、ロイドの脳裏を親友の声が過った。
__もし…叶うなら、最期に…会ってみたか…た、な………。
崩れかけた壁に背中を預け、そっと目を閉じる。
(俺は__)
最初のコメントを投稿しよう!