序章

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(今更…今更、あんな奴らにすがれっていうのか?)  冗談じゃないと、かなぐり捨てるように呟く。  聖都の連中は守護の恩恵を自分達だけで独占して、周りの都市がいくら妖魔に荒らされようと、構おうともしなかった。そんな連中に__しかも、その守護者に助けを求めようというのか? (……だけど)  背中越しに感じる、今にも絶えてしまいそうな温もり。この親友の事を想うと、ロイドの心は大きく揺らいだ。  やがて、彼らのねぐらに着き、チェンの体をそっと寝台に横たえる。  その苦しみに歪んだ寝顔を見ているうちに、ロイドの脳裏を親友の声が過った。 __もし…叶うなら、最期に…会ってみたか…た、な………。  崩れかけた壁に背中を預け、そっと目を閉じる。 (俺は__)
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