四ノ宮と梛音の関係性

7/33
前へ
/74ページ
次へ
「へぇ、どうして?」 梛音の目が意外そうに見開く。 その姿にはもう、催淫剤による苦しみは微塵も感じられなかった。 あれが全て演技だとするなら、梛音と言う少年の得体の知れ無さが伺えるというものだ。 敏(さと)過ぎるゆえに、人よりも傷つき、自らの負い目からも逃げれず、自分を痛みつけてしまうこの少年に対して、四ノ宮は自分に何が出来るのかと自問自答してみる。 まずは彼の心の内を知る事だ。 四ノ宮は、自らが持ち得た彼の情報を、最大限に活かせる様に、考えを巡らした。 人差し指で眼鏡をあげ、梛音と視線の高さを合わし、彼はゆったりと息を吐いた。 彼が患者に向き合う際に、必ず行うジンクスである。 一方、梛音の方は、この少し毛色が変わった新米医師をどう扱おうかと、楽しんでいる様に見受けられた。 意を決したように、四ノ宮は口を開いた。 「この際、お互いに腹を割ってお話しましょう。長くなりますが、ソレ我慢出来ますか?」 四ノ宮は梛音のシンボルを指でさした。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加