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四ノ宮と梛音の関係性
研修医2年目の四ノ宮 航(しのみや わたる)は、深夜に電話での呼び出しを受ける。
相手は上司である、奏眞 和音(そうま かずね)医師であった。
今夜は当直がなく寮にいた四ノ宮は、そこから、奏眞所有の仮眠ルームへと急ぐ。
ここでの治療という事は、患者は奏眞の近しい人物であり、かつ人目を避けなければならない事情があると言う事だ。
四ノ宮に嫌な予感が走る。
「はぁ、はぁ、お待たせしました。何があったのですか?」
奏眞医師は仮眠ルームではなく、外の廊下で四ノ宮の到着を待っていた。
「遅くに済まない」
「いえ」
怒りと痛みを必死に押さえつけ、奏眞は患者の状態説明を行う。
「患者は16歳男性。レイプされ屋外に1時間ほど放置させられていた為、軽い低体温症状にあり、全身に多数の裂傷を負っている。なお催淫剤とおぼしき不明薬物を、口と肛門から摂取させられた疑いありだ」
そこまで説明すると、奏眞はフーッと長い息を吐いた。
「……わたしの息子だ。彼はわたしの治療をきっと望まない。悪いが君にお願いしたい」
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