☆prologue☆

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四ノ宮 航(しのみや わたる)医師の仮眠ルームから高邑 憐が駆け出して行った。 それを追いたくて仕方のない梛音だったが、先に四ノ宮を問い詰める。 「おい、航これはどう言う事なんだ?」 梛音が怒りをここまで剥き出しにしたのを見るのは、四ノ宮も初めての事だった。 手短かに四ノ宮は応える。 「憐くんがわたしに話があると、突然訪ねて来ました。恐らく、憐くんの母上とわたしの兄のことかと……」 「そっか…」 遂に針は動き出したか……梛音は顔を曇らせる。 憐もようやく母親の事を調べる気になったわけだ……。 梛音は自分がそれを予見して、わざと立花教授と憐を引き合わせたにもかかわらず、胸に軽い痛みを覚える。 そんな梛音を切なげに見つめる四ノ宮。 彼は梛音が16歳の時から見守っているので、もう母親のような気持ちだった。 「済みません。矛先を変える為、貴方を利用させて頂きました。彼に何処まで話すべきか、相談する時間が必要でしたので」
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