South Storm

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「どう転ぶかな。俺としては出来るだけこちらでこちらで処理して大友に恩を売りたい。できれば俺と兄弟杯をと思っている」 「それはいい案ですね。会長にもいい土産話になります」 「オヤジを唸らせてやる」 「御意」 「今回は今までにないような抗争ってやつを見せてやる。恭介、真一、浩樹は残れ」 渡辺浩樹は「自分も?」と驚いたような顔で周りを見渡すと、恭介がコクリと頷いた。 皆が出ていって5人だけとなった部屋で、徐に組長は作戦を話し始めた。 「今回は銃撃戦になる。都会から離れた廃工場かなんかに呼び出す。廃工場を用意しろ」 「わかりました」 「真一は銃の手配、浩樹は今回中心で動いてもらう」 「俺がですか?」 「ああ、ハイテクな銃撃戦をやろうと思ってな。ゲームを仕掛ける」 「シューティングゲームですか」 「それでな、桧原の関係者を洗い出して全員にGPSをつけろ。期限は抗争が始まるまで」 「うわっ・・・・面白そうですね」 「お前は崇斗と合流して打ち合わせしろ。崇斗は新しいオモチャを作って東京からこっちに向かっている」 「新しいオモチャ?」 「会えばわかる。俺たち舎弟全員がお前の手駒だ。お前のプレーヤーとして動かせばいい」 「組長が手駒?」 「ゲームクリアは手駒を落とすことなく敵全員の殲滅だ」 「すげぇ・・・・そんなの俺がやっていいんですか?」 「お前、ゲームオタクでもあるんだろ?七生から聞いてるぞ」 「確かにオンライン・バーチャルサバゲとか何時間もやったりしてますけど・・・」 「無事ミッションをコンプリートさせろ」 「恭介は舞台の設置と下ごしらえの総指揮をしてくれ。その際に使うクスリもココに作ってある」 そう云ってジュラルミンケースにふたの締まった試験管が並んでいる。一本一本に少量の液体が封じ込めてある。 さすが闇の薬剤師・・・・・どんな薬でも配合して見せる。まぁ、資格を生かして働いていると言えばそうなる。 「使い方はお前に任せる。足りなくなったら俺に言え」 恭助は何も聞かなくてもその薬がなんなのかわかっているようだ 長く仕えているからか、なにも言わずとも阿吽の呼吸でわかってしまうのだろうか。 「俺は何をすればいい?」 自分に役割がないのは悔しい。九州に来て足を引っ張っているだけでいいところがない。この人の役に立ちたい!
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